ムダ毛に意味はある!?何のためにあるの?
眉毛や髪の毛を含め、人間の全身には150~200万本の毛が生えています。しかし、腕やすね、脇などの役割が明確でなく、意味もなく生えている毛はムダ毛と言われます。
それらは見た目も悪く、ツルツルで清潔感のある美肌が好まれる現代では邪険に扱われ、身だしなみを整えるためにも処理の対象となっています。
ムダ毛はいったいなんのためにあるのでしょうか?ムダ毛が生える意味はどういうものなのでしょう?
ムダ毛はムダ毛じゃなかった!?
実は、体に生える毛にはそれぞれ意味があります。
- 頭の毛、髪の毛は頭部を守るため
- 下半身に生える陰毛は生殖器を守るため
- 眉毛や睫毛はごみや汗などの異物から目を守るためなどなど
そしてそれは、処理の対象となるムダ毛にも言えます。
例えば、指毛や腕毛や脛毛。これらの毛は毛穴をカバーして細菌が侵入するのを防ぎます。
女性にとってムダ毛の代表とも言えるワキ毛。ワキは皮膚が薄いため、腕を動かす時に発生する摩擦を軽くする役目があります。また、皮膚が薄いワキは血管やリンパ節と言った大切な部分を守るためにも集中して濃く生やす必要がありました。
ムダ毛と言われる毛にもきちんと意味はあるのです。
ムダ毛が生える理由と意味
今でこそ現代人は髪など重要な部分にしか毛が生えていませんが、もちろん昔からそうだったわけではありません。現代人までの進化の過程である猿人、原人はチンパンジーなどの動物のように全身が体毛で覆われていました。
体温調節
古代は現代のように、衣服を身に付ける習慣がありませんでした。そのため、ムダ毛で体温調節をしていました。きちんと意味がありますね。
暑い時は少しでも熱を逃がせるように毛穴を開き、寒い時は熱を逃がさないように毛穴を閉じます。
ムダ毛に体温調節効果を痛感するのは手足の指先など末端です。指などの末端はムダ毛がほとんどどなく、常に外気にさらされます。外が暑いなら熱くなりますし、寒ければかじかむ程に冷たくなります。
肌を守る
何気なく過ごしていますが、日常生活の中には人間の体に悪影響を与える刺激で溢れています。
細菌や埃などの異物、紫外線などの外的なダメージなど。ムダ毛の毛穴の他に、汗腺も無数にあります。ムダ毛が無いと、毛穴から異物や外的な刺激から身を守れず、体内に色々な影響を及ぼします。
ムダ毛は、大切な肌を守る意味を担っているのです。
感覚器官
猫は、視界を遮られても獲物を獲ったりできます。それは顔に生えているヒゲが空間を把握する能力があるからです。
猫は、ヒゲで物の大きさや獲物との距離を読み取る事ができます。そのため、視界が遮られた状態でヒゲを切られると、空間の認識能力が低下して、獲物が取れなくなります。
全く同じではないですが、それと似たような役割が人間のムダ毛にもあります。
ムダ毛の毛根周辺の神経には、小さな振動など外的からの刺激を感じ取る感覚器官の役割があります。肌より先にムダ毛を何かに触れさせ、人間は微かな感覚を察知していました。暗闇のように視界が遮られたとき、危険を回避するための意味がありました。
この機能は現代人にはほとんど残っていませんが唯一、髪の毛には残っています。頭に直接触られなくても、髪の毛を触られると頭を触られると思って、反射的に頭をかばったりする方もいるかと思います。この行動は、古代の人類が身を守れるように身に付けた機能の名残です。
デトックス効果
人間のデトックスの70%は腸で行われると言われています。しかし、そこでは排出し切れないヒ素や水銀などの有害金属はムダ毛から排出されるのだとか。
ムダ毛がある事により、発汗がスムーズに行われます。汗は体温を下げて調節すると同時に、汗に乗せて毒素も排出してくれます。そのため、抜け落ちたムダ毛には、あらゆる毒素が溜まっています。
ムダ毛が無いと、発汗も上手く行かなくなり、本来排出される毒素がそのまま体内に溜まっていきます。
フィルター効果
鼻毛もムダ毛として気にしている女性が多いかと思います。しかし、これらはむやみに抜かないで下さい。太く丈夫な鼻毛は、フィルターのように鼻の穴に密集して生えて、細菌や埃などの異物をキャッチして侵入を防いでくれます。
もう必要ないと思っていた鼻毛でさえ、きちんとした意味があるのですね。
性毛の役割
ムダ毛は性ホルモンによる影響を受ける性毛と、影響を受けにくい無性毛に分かれます。女性で言う性毛に当たるのはワキ毛やデリケートゾーンの毛です。
これらの毛が生える理由は、様々な刺激から肌を守るためだけではありません。ワキから出る汗にはフェロモンがあるという話を聞いたことはないでしょうか?ワキから出る汗が皮脂と混じると、人間が持つ常在菌が繁殖し、特有の匂いが発生します。よく言われるところの体臭です。
しかし、この体臭がフェロモンとも言えます。ワキ毛とデリケートゾーンの毛は、他の毛と違って太く絡みやすいですよね?髪や無性毛のムダ毛が円形の断面であるのに対して、性毛は表面積を広げるために楕円形の断面をしています。
これは、毛と毛を絡み合わせて、ワキ毛であれば汗、デリケートゾーンであれば汗に加えて尿を付着させ、蒸発しやすくします。
そうする事で体臭を拡散させて、個体を区別したり、異性を惹き付けたりします。しかし、人間の鼻は生後2年くらいでフェロモンを嗅ぎ分ける能力が退化すると言われています。
その上、現代は香水などで香りを演出するのが可能になりました。そんな生活環境の変化から、性毛も存在意味を無くし、ムダ毛と呼ばれるようになってしまいました。
ムダ毛にはちゃんと意味があった!
このように、大切な役割がある体毛。ムダ毛は意味のないものではありませんでした。
しかし現代では、進化と共に身に纏うようになった衣服が、肌を守る役割を担っていますね。
生活環境の急激な変化で発達した、空調設備や家屋が体温調節の役割を担ってくれるようになりました。これらの大事な役割を失った体毛は、存在 する意味をなくしムダ毛と呼ばれるようになってしまいました。
とは言っても女性にとってのムダ毛は、やはり意味を受け入れられない憎い存在でもあります。
女性はスベスベツヤツヤな肌でいたいもの。美しさを求めるのはいけないことではありません。美しいカラダを手に入れて、自分に自信を持てればもっと輝きを放ちます。